寿柳聡
野村哲郎農水相が15日、就任後初めて佐賀・長崎の有明海沿岸地域を訪問。国営諫早湾干拓事業の中央干拓地(長崎県諫早市)などを視察し、両県関係者とも面談した。佐賀市では開門請求訴訟の原告・弁護団と意見交換。「有明海再生を実感してもらえるよう取り組む」と述べたが、漁業者が求める開門調査については「開門せず基金での再生を」との立場を崩さなかった。
野村農水相は佐賀県小城市の県有明水産振興センターも視察し、タイラギやサルボウなどの二枚貝や県西南部でのノリの不漁の現状と、県が行ったアゲマキの稚貝放流事業の説明をうけた。
意見交換で原告らは、「開門や非開門の前提をなしにした国との話し合いの場を」と要望。昨季のノリが大凶作だった県西南部の漁業者は、県全体の平均値などをもとに有明海・八代海再生特措法による救済が見送られたことにも言及して適用を求めた。
野村農水相は終了後、報道陣に「我々は開門しないで基金による再生が最良と考えている」と述べ、開門の是非抜きでの話し合いにも難色を示した。特措法適用についても「(国の資金も入っている共済などに加え)さらになんとかということになれば、税金を二重に出すことになる」として平等性の観点から難しいとの考えを強調した。(寿柳聡)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル